2015年埼玉県熊谷市で6人を殺害した罪で逮捕されたペルー人の被告に、死刑判決が下されました。




この事件は、「熊谷連続殺人事件」として知られていますが
ナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン被告(32)の精神状態や奇行などが、たびたび伝えられていたので


「無罪になるかも…」

と、懸念していました。


なので、判決を聞いたときは、「びっくり「「ほっ」という気持ちが入り混じりましたね。


殺人などの罪に問われたペルー人、ナカダ被告の刑事責任能力の有無が争点となったようですが、検察側の求刑を支持したのはどんな決め手があったのでしょうか。


・熊谷連続殺人事件の概要
・死刑判決の理由
・判決の決め手

にわけて、死刑判決が出た経緯をまとめてみたいと思います。



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熊谷連続殺人事件とは

熊谷連続殺人事件は、2015年9月14日と9月16日に、埼玉県熊谷市で発生した、連続殺人事件。

この事件で、子どもを含む6人が死亡、犯人はペルー出身の男、ナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタンでした。

ナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン 画像
出典


9月14日

熊谷市見晴町の住宅で、住んでいる夫婦が死んでいるのを知人の女性が発見、警察に通報する。

現場には犯人のものとみられる足跡が残されていた。


また、犯人が書いたものとみられるアルファベットの文字のようなものが壁に書かれていた。


9月16日

熊谷市石原にある自宅で、84歳の女性が浴室で死亡しているのが発見される

殺害された女性について警察が聞き込みを行っていたところ、照明がついているものの応答しない家があった。


不審に思った警察が周囲を覗いてみると、2階の窓から包丁を持ったナカダ被告が顔を出す。


ナカダ被告はその家に住む母親と2人の娘を殺害していた。


警察はナカダ被告を説得するも、被告は2階の窓から飛び降りて自殺を図る。


ナカダ被告は意識不明のまま病院へ搬送され、警察は家の中で3人の遺体を発見する。



母娘の遺体は1階と2階のクローゼットの中から発見されたそうです。

熊谷連続殺人事件 地図
出典



その後のナカダ被告

ナカダ被告は9月24日に意識を取り戻し、10月8日に退院。

ナカダ被告 退院
出典


その後

・夫婦殺人及び住居侵入
・84歳女性殺人
・母娘殺人

の容疑で逮捕されますが

「覚えていない」
「やっていない」

など、容疑を否認します。


ですが、精神鑑定を受けたナカダ被告は刑事責任能力があると判断され、さいたま地方裁判所に
・強盗殺人
・死体遺棄

などで起訴されました。


被害者が6人以上の、大量殺人事件としての起訴です。

さいたま地方裁判所
出典



2015年の事件ですが、報道された現場の物々しい様子は、今でも脳裏に焼き付いています。


6人の命をあっという間に奪い、自らの命も絶とうとした、超自分勝手な犯人。


その後意識を取り戻し、刑事裁判を開くところまで行きましたが、13回開かれた公判で、ようやく判決が出ました。



熊谷連続殺人事件犯人のペルー人に死刑判決

さいたま地方裁判所の佐々木直人裁判長は、2018年3月9日、ナカダ被告に判決を言い渡しました。

熊谷連続殺人事件 判決
出典


言い渡されたのは「死刑」。


・強盗する目的で家に侵入
・被害者を深く刺して殺害
・証拠隠滅する行動

など、

・動機が明確
・ナカダ被告が犯人ということにゆるぎなく
・強い殺意を持ち
・犯罪を隠そうとした行動も認められた

といったことから、責任能力があった、と、裁判長は判断したようです。


 佐々木裁判長は、被告が金に困り、金品を得る目的で民家に侵入したと認定。遺体を目に付かない場所に隠し、血痕を丁寧に拭き取ったと指摘した。さらに各現場で必要な金品を入手するなど行動が一貫しており、「善悪の判断能力や、行動を制御する能力が著しく劣った状態になかった」と完全責任能力を認めた。
 その上で「強固な殺意に基づく残虐な犯行で、死刑はやむを得ない」と結論付けた。(引用




責任能力が認められてよかった!


遺族を始め、多くの人が思ったことではないでしょうか。


でも、責任能力が認められない可能性もあったんですよね。


「もしかしたら精神疾患?!」と思われる点がいくつかありましたからね、ナカダ被告には。



ナカダ被告は精神疾患だった?

事件を起こす前から行動がおかしかった

ナカダ被告は事件を起こす前、住居侵入などの疑いで警察に身柄を拘束されていました。

その時の様子が
・「ペルーに帰りたい」と言っていた
・親族と通話中に泣き出した

というふうに、情緒不安定でした。

また、ナカダ被告を知る人達は
・ナカダ被告が身の回りの異常を訴えていた
・「殺される」と話ていた

など、統合失調症を匂わせるような行動も。


さらに、拘束されていたナカダ被告は、スキを見て警察署から逃走します。


逃走後も
・複数の民家などに不法侵入
・見知らぬ人に「カネ、カネ」と要求

など、不可解な行動をしていたということです。


ナカダ被告の姉の話では、ナカダ被告は精神的に不安定で、何かに怯えたりしていたと言います。

ナカダ 姉
出典



「やっていない」「覚えていない」

意識不明の状態から回復したナカダ被告ですが、事件に関しては完全否定。

奇声や奇行もあり、髄膜炎予防の手術を受けてからはおとなしくなったということですが、事件に関しては

「やっていない」
「覚えていない」

と繰り返していたようです。


言葉の壁もあるけれど、それを差し引いてもナカダ被告はやっぱり普通の人って感じがしませんよね。


精神疾患であるんじゃない、やっぱり?!


ではなぜ、ナカダ被告は完全に刑事責任能力があったと判断されたのでしょうか。



判決に結びついた決め手は?

起訴されたナカダ被告ですが、起訴後精神鑑定を再び受け、統合失調症と診断されました。

そして、ナカダ被告の住居侵入、強盗殺人、死体遺棄について

・弁護側は統合失調症による心神喪失で無罪
・検察側は刑事責任があるとして死刑

という立場で、法廷で争われることになったのです。


もちろんここでの最大の争点は、ナカダ被告に刑事責任能力があったかどうかですよね。


精神科医の精神鑑定でも、ナカダ被告に精神疾患があるとの判断があったわけですから、「責任能力なし」となれば無罪という可能性もあります。


なので、裁判では
・ナカダ被告が違法性を認識できたかどうか
・ナカダ被告の精神疾患の程度
・善悪の判断があったかどうか
・自分の行動を理解できていたかどうか

などの点が争われ、結果

ナカダ被告は違法性を認識でき、善悪の判断があった状態で犯行に及んだ、と判断されたわけですね。


決め手は「殺人は悪いことで法に触れるのはわかってるけどやった」ということだけど、統合失調症なのになぜこう判断することができたのでしょうか。



統合失調症=善悪の判断ができないということではない

弁護側は、「ナカダ被告は統合失調症のため、善悪の判断がつかず、自分をコントロールできなかった」として犯行当時は心神喪失で無罪を主張しています。

ですが、統合失調症だからといって必ずしも善悪の判断ができない、ということではないようです。


ナカダ被告の精神鑑定をした精神科医は

「被告人は、犯行時は統合失調症であっても、一般論として『人を殺害することは悪いことだ』と理解しており、善悪の判断はついていたといえる」と証言した。(引用



これはとても興味深いですね。


統合失調症=善悪の判断がつかない


でないので、統合失調症だったかどうか、ということに決着をつける必要はなく、「善悪の判断がついていたかどうか」の判断材料になるわけなのか。



証拠隠滅の行動は、違法性を認識できてた証拠?

ナカダ被告は、被害者の遺体を隠したり、血痕をふき取ったりしていました。

検察側は、「ナカダ被告は違法性を認識していた」と指摘しています。


確かに証拠を隠滅しようとする行動ですが、精神疾患を患っているナカダ被告は、もしかしたら「悪いことをしている」という認識のないまま行動を起こしている可能性も、精神医学的にはあるというのです。


ナカダ被告が言わなければわからないよ、こんなところまでは><



でも、複数の被害者の遺体を隠す行為をしているわけだから、やっぱり「悪いことしてる」という認識は少なからずあったのでは、と思います。

裁判でもこの点が判断材料になったのではないでしょうか。



被害妄想や強迫観念が動機なのか

ナカダ被告は、犯行当時かなり精神的に不安定な状態だったようです。

「誰かに追われている」という妄想から逃げることが、人の家に侵入するきっかけになり、それが殺人へとつながってしまった、というのです。


弁護側はそう主張しますが、検察側は、「金を盗む」という明確な目的があったとしています。



ナカダ被告は、事件を起こす前から「カネ、カネ」と、迫ってますし、やっぱり強盗目的で侵入したと考えるのが自然ではないでしょうか。


しかも、被害者の家では財布を物色していましたし。

「逃げたい」から、という理由では、「財布を物色するのはなぜ」を説明できませんよね。



まあ、こんなふうに公判の内容を見てみると、ナカダ被告は精神疾患ではあるけど、「悪いと思ってやっている」を思わせるような行動をしていると考えるのが自然ですね。


被害者遺族の感情を考慮しても、この判決は妥当かな。



おわりに

判決を受けて、ナカダ被告はうつむいたままで反応はなかったということです。


弁護側は控訴、ナカダ被告はどこ吹く風といったところでしょうか。


自分の命のことも、全てに対して全く関心がなくなってしまっているのでしょうか。



自分がしたことに対して罪を償う。



これは今のナカダ被告には届きそうにないですね。



今回は、ということでした!




参考サイト:
http://www.ytv.co.jp/press/society/TI20271839.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%8A%E8%B0%B7%E9%80%A3%E7%B6%9A%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201803/CK2018030902000260.html
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/400062/
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018030900145&g=soc
https://digital.asahi.com/articles/ASL374DB0L37UTNB00G.html?rm=447
https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0309/mai_180309_6413466827.html
http://www.sankei.com/affairs/news/180126/afr1801260020-n1.html