イギリスのテリーザ・メイ首相は、駐英ロシア外交官ら23人を国外追放すると発表しました。





これは、先日発生した、ロシア元スパイ、スクリパリ父娘殺人未遂事件が発端になっているようです。


誰がなんのために、どういう経緯で事件になったのか、まだ捜査の段階だと思うのですが。


単なる殺人未遂事件ではなく、国家レベルの問題にまで発展しているということは、やっぱりロシアの関与が強いということなのでしょうか。



なぜ、イギリスがロシアスパイ殺人未遂事件で、ロシアに対して外交圧力をかけたのか、その理由について調べてみました。



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メイ首相「駐英ロシア外交官23人を国外追放」

2018年3月14日、イギリスのメイ首相は下院で、イギリスに駐在しているロシア外交官23人を国外追放すると発表しました。

追放となるのは、ロシアの「未申告の情報将校」とのこと。


なぜ政府がこの措置をとったのか、BBCニュースが伝えるところによりますと
3月4日に発生した、元ロシアスパイ、セルゲイ・スクリパリさんと娘のユリアさん殺人未遂事件が発端になっています。


その殺人未遂事件については以前記事にしたので参考にどうぞ。

ロシア元スパイ、スクリパリ氏は暗殺のターゲット?家族も不審死の疑いが | ええっ!?ジャーナルロシア元スパイ、スクリパリ氏は暗殺のターゲット?家族も不審死の疑いが | ええっ!?ジャーナル 


・スクリパリさんがイギリスに協力した元スパイ
・使用されたのが神経剤

といったことから、事件発生当初からロシアの関与が疑われていました。


イギリス政府はロシア政府に対し、事件に対する説明をするよう3月13日という期限を付けて要請。


ところがロシア政府がこれを拒否今回の国外追放に至ったというのです。


メイ首相が表明しているのは、国外追放だけではありません。

・民間航空機や税関、貨物に対する検査を拡大
・英国民や在英外国人の生命や資産を脅かす可能性のあるロシアの国有資産を凍結
・今年ロシアで開催されるサッカー・ワールドカップ(W杯)への英国王家や閣僚の不参加
・予定されていた政府高官レベルの英露間協議の延期
・「敵対国の活動」に対する新法策定
引用



メイ首相、かなり強気。イギリスを恐怖に陥れたロシアを絶対に許さない!という姿勢が伺えます。



メイ首相の強行措置から、スクリパリ父娘殺人未遂事件には、ロシアが深く関わっていると見て間違いなさそうですね。


でもなぜここまでロシアが関与していると判断したのでしょうか。



使用された神経剤はロシア生まれ

イギリスのポートン・ダウン防衛科学技術研究所は、事件に使われた神経剤を調査。

その結果、神経剤は「ノビチョク」であるとわかりました。


聞いたこともない名前の神経剤!


一体どんな神経剤なの?


ノビチョクとは?


ノビチョクについて、ニューズウィークが報じています。

元スパイ暗殺未遂に使われた神経剤「ノビチョク」はロシア製化学兵器 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト元スパイ暗殺未遂に使われた神経剤「ノビチョク」はロシア製化学兵器 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト 


記事の要点をまとめると
・旧ソビエト連邦で開発された神経剤
・開発された時期は1970年代から80年代にかけて
・2剤を混ぜて使うバイナリー兵器(バイナリー兵器とは、2種混合型の化学兵器のこと)
・粉末状で保存できる
・殺傷能力がとても高い
・検知されにくい
・効き目が長い
・取扱には高度な専門知識が必要なため、ロシア以外で製造されたとは考えにくい



ノビチョクの怖いところは、バイナリーなので化学兵器ではないと見せかけることができたり、粉末で持ち運びしやすい、検知されにくいという点ですね。


殺傷能力が高いということですが、どれくらい高いかと言うと、あのVXの5~10倍の殺傷能力を持つと言われています!

軍用神経剤による暗殺、ニセ情報工作、傭兵部隊工作~プーチンの悪事のデパート「ロシア情報機関」(前編)(黒井文太郎) - 個人 - Yahoo!ニュース軍用神経剤による暗殺、ニセ情報工作、傭兵部隊工作~プーチンの悪事のデパート「ロシア情報機関」(前編)(黒井文太郎) – 個人 – Yahoo!ニュース 


取扱などの点から、ノビチョクがイギリス国内で製造された可能性はとても低いし、誰でも作れるってわけでもないので、やっぱり…


イギリスがロシアの関与濃厚と判断した理由

イギリス ロシアスパイ事件 ロシア関与
出典



メイ首相が、事件はロシアが関与している可能性が極めて高いと断言しているのは

・ノビチョクがロシアで開発された「軍用級神経剤」であり、現在も製造可能
・ロシアはこれまでも暗殺繰り返してきた過去がある
・一部の亡命者たちはロシアの暗殺の対象となっている

という点からです。


政府として決定するんだから、それなりのものがあるはず、と思っていましたが、しっかりありましたね。



事件で国連安全保障理事会の緊急会合開催

ノビチョクによって襲撃されたことがわかり、国連安全保障理事会は緊急会議を開催しました。

ノビチョク 国連安全保障理事会
出典


この会合で、イギリスとロシアの間で非難の応酬が勃発。


英国アレン国連次席大使「ノビチョクは高度な施設と専門知識がないと作れない」

ロシアのネベンジャ国連大使「何を勝手なことを。ノビチョクかどうか証拠出せ!」

アレン国連次席大使「化学兵器禁止機関(OPCW)に調査依頼したからね」

ネベンジャ国連大使「サンプル出さねえくせに。そっちの宣伝工作の一環だな!」


といったようなやりとりがなされたようです。

<国連>安保理が緊急会合 元スパイ襲撃めぐり英露対決 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース<国連>安保理が緊急会合 元スパイ襲撃めぐり英露対決 (毎日新聞) – Yahoo!ニュース 



もし、ロシアがノビチョクを製造して事件に使ったとしたら、化学兵器禁止条約に違反することになるわけで、国連も黙ってない(まあ、ロシアは常任理事国の一つなので、あまり効果は期待しないほうが良いかも)。

スクリパリ父娘殺人未遂事件は、英国とロシア間の問題から国際問題にまで発展しています。


イギリスの対露強硬姿勢に連携を表明したのは
・アメリカ
・カナダ
・フランス
・ドイツ
・オーストラリア

そして、EUやNATOもイギリスをサポートしていくことを表明しています。



こうやって支援があるのは心強いですが、この事件の真相は究明されるのでしょうか。


ロシアはイギリスの非友好的な態度を徹底的に非難していますし、これはず~っと平行線で行きそうな予感。


ロシアは限りなく黒に近いですが、いつも疑惑の枠を超えずにうやむやになっていますよね。




おわりに

BBC記者がプーチン氏に対して、

「スクリパリ氏が毒をもられたのは、ロシアが背後にいるんですか?」
と、ど直球な質問をしました。




プーチン氏がどう答えるかドキドキしましたが、否定も肯定もしない。


ロシア側がはっきりと否定しないのが腑に落ちませんね。


イギリスの要求に対応しなかったし、質問も煙に巻くし。


ロシアは、「化学兵器禁止条約に基づいた要請があれば協力する」としています。

でも、もし英国がサンプルを提出したり、ノビチョクが使われたと確定した場合は、ロシアはどんな態度をとるのでしょうか。


ロシアは限りなく黒に近いけど、これまで暗殺や不審死に関しては、疑惑の粋を超えていないんですよね。



今回もそうなるのでしょうか。


真相究明はできるだけしてほしいですが、こういう危険な神経剤が身近で使われる可能性があるというのが怖いです。


こういう危機管理についても対策をしっかりとってほしいですよね。



今回は、ということでした!




参考サイト:
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/03/post-9737_2.php
http://www.bbc.com/japanese/video-43367626
http://www.bbc.com/japanese/43381805
http://www.bbc.com/japanese/video-43381765
http://www.bbc.com/japanese/43411321
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180315-00000073-reut-asia
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180315-00000026-mai-int
https://news.yahoo.co.jp/byline/kuroibuntaro/20180315-00082740/
https://www.standard.co.uk/news/world/uk-russia-news-live-kremlin-poised-to-hit-back-at-theresa-mays-sanctions-as-white-house-pledges-a3790506.html